ミャンマー:カチン州紛争地帯でのアクセスを確保

紛争が続くミャンマー北部カチン州。粘り強いアクセス交渉の結果、国連が約1年ぶりに戦闘ラインを越えて、反政府勢力支配地域での支援を提供できるようになりました。ミャンマーでは、支援を必要とする全ての人々のため、そしてNGO等も含めた現地人道コミュニティ全体のため、人道アクセスの交渉を行う上でOCHAが重要な役割を担っています。以下がOCHA本部レポートの日本語版です。

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ミャンマー:国連の援助物資が戦闘ラインをこえていく
Myanmar: UN aid convoy crosses Kachin frontlines

国連が率いる援助物資を積んだトラックの隊列が、カチン州の反政府勢力支配地域に立ち入ることを1年ぶりに許可されました。この結果、戦火を逃れて避難している人々が暮らす地域に、ようやく食糧等の生命をつなぐ物資を届けることが出来ました。国連や国際人道支援機関は、戦闘ラインの向こう側で暮らす何万人もの民間人に支援を届けるため、この2年間地道な努力を重ねてきました。特にこの1年はとりわけ厳しい制限を受けてきました。

今回のコンボイはミャンマー政府軍支配下のバーモ市を6月12日に出発し、5日間でのべ90kmの道のりを経て、マイジャヤン村への道沿いに設置された6箇所のキャンプに身を寄せている4,800人の国内避難民に物資を届けました。

支援チームはOCHAの他、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連児童基金(UNICEF)、世界食糧計画(WFP) などから編成されています。チームは食糧や栄養補助剤、蚊帳や毛布、保健衛生用品を配布した上で、キャンプの運営にあたっている現地NGOスタッフや地元の代表者らの研修も行いました。

2011年6月以降、ミャンマー政府とカチン独立機構との間で戦闘が激化し、推定10万人が避難を余儀なくされています。そしてそのうち6割が政府の手が及ばない地域に身を寄せています。

国際社会から多少の支援を受けつつ、地元の支援団体だけはこれまでにもこうした地域にアクセスし、基本的な支援物資を届けることができてきました。しかしその努力にもかかわらず避難民は増え続け、ニーズを十分に満たすことが出来なかったのです。

国連が求めるのは、定期的かつ妨げられることのない人道アクセス

国連の支援チームが到着したことで、避難民の間には希望がもたらされました。パ・カタウンキャンプで暮らす3人の子を持つ母親もこのように語っています。「今日受け取ったのは、お米に食用油、塩や豆、それに日用品も。国連の支援チームが来て、食べ物や様々な物資を届けてくれました。本当にありがたくて、これからどうか定期的に来てくれますようにと、みんなで神さまに祈ったんです。」

一方、OCHAのミャンマー事務所長を務めているオリバー・レイシー=ホール氏はこのように述べています。「今回のミッションの成否は、こうしたミッションを今後継続させられるかどうかにかかっています。定期的かつ妨げられないアクセスが認められれば、急務となっている避難用仮設住居への支援を始め、この先必要不可欠となる援助物資を届けることが出来るでしょう。」

「私たちが目にした多くの人々は、避難キャンプでぎゅうぎゅう詰めの生活を送っており、仮設住居も修理が必要な状態です。雨季がもう始まっていることを思えば、非常に憂慮すべき事態だと思っています。」

マイジャヤン村では物資を受け取ったばかりの男性が、嬉々としてこう話してくれました。「このキャンプに国連チームが来てくれたのを見てどれほど嬉しいか、言葉にならないくらいです。私は障がいがあるから仕事を探しに近くの農場まで行くことも出来ません。この支援のおかげで、家族は命をつなぐことができたのです。」

必要なのは、紛争終結のための永続的な解決策

「今後もこうした地域に人道支援を定期的に届け続けることはもちろん重要です。しかし、それも一時的な解決策にすぎません。」とレイシー=ホール氏は警告しています。

「真に必要なのは、カチン州における紛争の根本原因を解決する恒久的な対策なのです。そうした永続的な解決策を見出してこそ、人々は自分の家に戻り、生活を再建し、安全・安心な暮らしが出来るようになるでしょう。」

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