武器貿易条約:緊急援助調整官による声明 

2013年4月2日、武器貿易条約が国連総会で採択されました。紛争下における文民の保護、避難民の発生及び人道要員の安全確保等、国際人道課題の克服という観点からも、重要な条約となります。

これに先立ち、OCHAのトップであるヴァレリー・エイモス人道問題担当国連事務次長・兼・緊急援助調整官が、他の国連人道機関を代表し、声明を述べました。以下の通り日本語訳を作成いたしましたので、ぜひご覧ください。

 

国連武器貿易条約会議
2013年3月18-28日

人道問題担当国連事務次長・兼・緊急援助調整官
ヴァレリー・エイモスによる声明文

2013年3月21日

議長、並びにご列席の皆さま、

武器貿易条約に関する国連会議の席で、声明を読み上げる機会を賜りありがとうございます。人道アクションに携わる6つの国連機関を代表して、声明を述べされて頂きます。なお、代表する国連人道機関は世界食糧農業機関(FAO)、国連人道問題調整事務所(OCHA)、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)、国連児童基金(UNICEF)、国連開発計画(UNDP)、国連高等難民弁務官事務所(UNHCR)です。

議長、

まず始めに、本会議の開催を心より歓迎致します。本会議は、これまで殆ど規制されてこなかった武器貿易がもたらした結果と向き合い、武器貿易条約の採択に向けた今日までの進捗を更に進めるという、国連加盟各国のコミットメントを示すものとなるでしょう。

この会議は多くの意味で重要です。

まずこの会議は、グローバルな拘束力を持つ武器貿易規制条約に各国が合意する機会です。

武器貿易が殆ど規制されてこなかったため、広範囲かつ容易に武器が出回り、間違った使い方をされることで引き起こされた、人道、人権、開発に反する様々な結果に対して、各国が断固たる行動を起こす機会でもあります。

また、女性や子どもを含む一般市民に対する無差別な殺戮や殺傷など、国際人道法や国際人権法への重大な違反行為を減らす機会にもなります。

そして国内あるいは国境を越えて、市民に避難を強いるような状況を減らす、もしくは防止する機会ともなります。2011年末時点で、世界中で紛争によって避難生活を余儀なくされた人々の数は4,200万人を越え、うち2,640万人が国内避難民、また1,540万人が難民です。多くの場合、こうした人々を避難へと追いやった暴力行為は、小型武器を含む武器の入手があまねく容易になり、乱用されたことで一層悪化しています。その結果、こうした人々が喫緊に必要とする仮設住居や食糧、保健医療サービスその他の人道支援を提供するため、国際社会が負うコストは膨大なものとなっているのです。

本会議はまた、国連その他の援助機関職員の安全が脅かされたり、実際に攻撃の的となることによって、一般市民のいのちを救うための人道支援や開発援助の実施が中断、もしくは遅延したりする問題についても話し合う機会です。実際2003年から2012年の間に、809人の人道支援に携わる人々がこうした攻撃によって死亡、817人が負傷しています。

そして最後にこの会議は、暴力的な犯罪や治安の悪さを減らす機会ともなるはずです。これらは多くの社会をむしばみ、開発を阻み、争いや貧困に油を注ぎ、性とジェンダーに基づく暴力や、子どもに対する暴力を悪化させています。

議長、

条約草案には、今後グローバルな武器貿易を効率的に取り締まるために必要な多くの要素が、すでに盛り込まれていることと承知しています。

しかしもし各国がこの機会を最大限に活かして、武器貿易の規制が不十分な結果、私たち人間一人ひとりが代償として払っているコストの問題に充分に取り組むのであれば、現在の草案内容に留まらず、以下の点を盛り込んだ包括的で確固たる条約に合意すべく努力が払われなければなりません。

まず第一に、想定外のエンドユーザーへの転売も含め、移譲された武器によって国際人道法や人権法の重大な違反行為が行われるかもしれないリスクを、各国がきちんと査定する必要があります。そしてもし当該武器がそのような違反行為に使用されると思われる、最も重要なというよりむしろ相当程度のおそれがある場合には、関係各国にそのような移譲の認可を控えるよう求めなければなりません。

第二に、当条約は、すべての通常兵器を対象にしなければなりません。小型武器や武器部品も含まれます。2011年に国連事務総長が小型武器に関する報告書で述べているように、小型武器貿易の規制は不十分です。多くの国で、法令や管理システムがなかったり、またあっても実施能力が不十分であることから国際人道法や人権法に違反するような犯罪を犯す者の手にあまりにも容易に小型武器が渡ってしまっています。

第三に、このような条約は弾薬も対象にすべきです。戦闘行為の継続には、途切れることのない弾薬の供給が不可欠です。弾薬がなければ、今出回っている武器のストックも使うことができなくなります。国連事務総長の報告書によれば、特定の武器が武装グループに広く出回っていることは、弾薬の入手しやすさにも関係しているようです。一般市民に対する攻撃危険度が高まっている状況下においては、弾薬の追加供給を阻むことが先決でしょう。弾薬の移譲規制は、武器そのものの移譲規制と同じくらい重要です。

第四に、条約には抜け穴があってはなりません。通過や積み替え、ローンやリース、贈与、仲介やそれに類する取引など、あらゆる形態の武器の移譲を網羅すべきです。そして「その他機器」に関する義務や、「防衛協力合意」の下での契約履行義務に関しても、武器の移譲として条約の範疇から除外すべきではありません。

議長、

以上のことを考慮し、我々は加盟国のみなさんに、人道上、人権上、開発上の課題を、当議論の中心に据えた、包括的で確固とした武器貿易条約となるよう強く訴えたいと思います。そして、不十分な武器貿易管理がもたらす、私たち人間一人ひとりが代償として支払う圧倒的なコストを少しでも減らし、人々やコミュニティが安心して暮らせるようになるための条約となることを願って、この声明を締め括らせていただきます。

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国連広報センターによる「武器貿易条約:ファクトシート」>>
国連広報センターによる「武器貿易条約:よくある質問」>>